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Unforgettable Brass Pounders 9
97/12/27

1980年代初頭、前々回のサンスポットサイクルが下降しだした頃、春めいてきた夜更けに14メガでCQを出すと、ZE1FN、Frankが呼んでくれることが時々あった。当時私はベアフットに14AVQという設備で、アフリカの局から呼ばれるのは嬉しいものだった。彼は英国出身のかなりのold timerで、当時すでにリタイアしていた。彼の縦振れから生み出される符号は、お世辞にも上手なものとは言い難かった。長短点比が小さめで、弾むような趣の符号である。信号が弱くなると、多少取り辛く感じることもあった。しかし、年輪の刻まれた彼の符号は、ある種の味わいも感じられるものであった。

お天気の話、リグの話等と通り一遍の交信に終わることが多かったが、交信する時刻は、あちらでは夕刻にあたり、「さてこれから、沈む夕日の見えるテラスで、ビールを楽しむことにしよう」といって引っ込むのを常としており、それがとても印象的であった。アフリカの大草原に沈む夕日を想像しながら、73を送ったものだった。

その後ZE1からZ21にコールが変わってからも数回交信したが、ここ2、3年は聞こえてこない。来年早々深夜のアフリカが開けるようになってから、彼の踊るようなCWが聞こえて来ることを期待しよう。

鬼澤信
JA1NUT